AI画像生成サービスは、テキストだけで様々な画像を作れる便利なサービスです。
ビジネスシーンでも活用も注目されていますが、著作権やその他法律についてどんなリスクがあるのでしょうか?
現時点でAI画像生成を規制する法律などはありません。
ただし、著作物と似たような画像を生成してしまう【著作権侵害】問題はあります。
(これはAIに限らず、ファンアートや二次創作にも当てはまります。)
正確な情報は政府の見解をご覧下さい。
AI画像生成の基本
どんなツールがあるの?
1. ChatGPT(DALL-E3)
概要: OpenAIが開発したAI画像生成ツールで、テキストプロンプトから高品質な画像を生成します。
特徴
- シンプルなテキスト入力で画像を生成
- 高解像度の画像出力
- バリエーション豊かな生成結果
利用例
- 商品イメージの作成
- マーケティング素材のデザイン
- ソーシャルメディア投稿用画像の作成
2. Bing Image Creator
概要: Microsoftが提供するAI画像生成ツールで、Bing検索と統合されているため、簡単にアクセスできます。
特徴
- テキストプロンプトで画像を生成
- Bing検索と連携した直感的な操作
- 幅広いスタイルと用途に対応
利用例
- ブログやウェブサイトのビジュアル作成
- マーケティング用の画像生成
- プレゼンテーション資料のビジュアル強化
3. MidJourney
概要: DiscordベースのAI画像生成ツールで、クリエイティブなビジュアルを簡単に作成できます。
特徴
- チャットベースの操作が直感的
- 豊富なスタイルオプション
- コミュニティとの交流でアイデアを共有
利用例
- ブランドビジュアルの作成
- イラストレーションやコンセプトアート
- ウェブサイトやブログのビジュアルコンテンツ
4. Canva
概要: デザインツールとして広く知られるCanvaも、AIを活用した画像生成機能を提供しています。
特徴
- 豊富なテンプレートと素材
- ドラッグ&ドロップで簡単にデザイン
- AIベースの画像編集機能
利用例
- ソーシャルメディアグラフィック
- プレゼンテーション資料
- ロゴやバナーのデザイン
小さなビジネスでの活用アイデア
AI画像生成ツールは、小規模ビジネスでも様々な用途で活用できます。以下に具体的な活用アイデアをコンパクトにまとめました。
1. ソーシャルメディアコンテンツ
- 投稿用画像: 新商品やサービス、キャンペーンの告知画像を作成。
- ストーリーズ: 短時間で消えるストーリー用のグラフィックを生成。
2. マーケティング素材
- チラシやパンフレット: プロモーション用の印刷物をデザイン。
- オンライン広告: バナー広告やSNS広告用の画像を作成。
3. ブログやウェブサイト
- アイキャッチ画像: 記事に合ったカスタム画像を作成。
- バナーやヘッダー: ウェブページのデザインを向上。
4. ブランドビジュアル
- ロゴデザイン: ブランドのロゴを生成・編集。
- 統一感のある画像: ブランドカラーやスタイルに合わせた素材を作成。
5. 商品画像
- 写真補正: 商品写真の品質を向上。
- イメージ画像: 新商品のプロモーション用画像を生成。
6. プレゼンテーション資料
- スライドデザイン: 見栄えの良いスライドを作成。
- インフォグラフィック: データを視覚的に伝えるビジュアルを作成。
7. イベントプロモーション
- ポスターやフライヤー: イベント告知用の印刷物をデザイン。
- SNS用プロモーション: イベント情報を広める画像を生成。
画像生成AIの法的リスクって?
知的財産権(著作権とか商標権)について
AI画像生成ツールを使うときに気をつけたいのが「知的財産権」。
これは、誰かのアイデアや作品を守るためのルールです。特に「著作権」と「商標権」について知っておくと安心です。
1. 著作権
著作権は、絵や写真、文章などのオリジナル作品に対する権利です。作品を作った人に自動的に与えられる権利で、登録とかは必要ありません。
注意点
- 無断使用に注意: 他の人が作った絵や写真を許可なく使うと問題になります。AIで作った画像が他の作品に似ていると、著作権を侵害する可能性があります。
- 改変にも注意: AIで作った画像を改変して使う場合も、元の作品の著作権に気をつけましょう。
対策
- オリジナルを作る: 自分だけのアイデアや素材で画像を作りましょう。
- ライセンス確認: 使う素材や画像の利用ルールを確認して、必要なら許可を取ること。
生成した画像は必ず画像検索などで、似た画像がないかを調べましょう。
2. 商標権
商標権は、会社のロゴやブランド名などに対する権利です。これを登録すると、その名前やデザインは特定の会社だけが使えます。
注意点
- 混同に注意: AIで作った画像やロゴが既存の商標に似ていると、消費者が混乱するかもしれません。これが商標権の侵害になります。
- 不正競争に注意: 似たデザインを意図的に使うと、法律に触れることがあります。
対策
- 商標検索: 新しいロゴやブランドイメージを作る前に、似たものがないか調べましょう。
- 専門家に相談: 心配なことがあれば、弁護士や専門家に相談すると安心です。
3. AI画像生成ならではの問題
AIが作った画像の著作権が誰にあるのか、まだはっきり決まっていません。特に、ツールを提供している会社、画像を作ったユーザー、AI自体のどれが権利を持つのかが問題です。
- 権利の帰属: AIが作った画像の著作権が誰にあるのか確認しましょう。
- データ出所の確認: AIツールが学習に使ったデータの著作権やライセンスを確認することも重要です。
基本的にAI画像は生成した人に著作権が与えられます。
しかし、生成された画像が特定の作品や作風に似ている場合は、著作権侵害に当たる可能性があります。
対策
- 利用規約の確認: 使うツールの利用規約をよく読んで、生成された画像の権利がどうなるか理解しましょう。
- 専門家のアドバイス: 商用利用を考えているなら、法律の専門家に相談すると良いです。
プライバシーと肖像権の問題
AI画像生成ツールを使用する際には、プライバシーと肖像権についても注意が必要です。
これらの問題は、特にAIツールが学習に使用するデータに関わることが多いです。
プライバシー権は、個人の情報や私生活を守る権利です。
AIツールが学習に使うデータに個人情報が含まれている場合、その扱いには注意が必要です。対策としては、データを匿名化して個人を特定できないようにすることが重要です。また、ツール提供元のプライバシーポリシーを確認し、どのようにデータが扱われているかを理解しましょう。
肖像権は、本人の許可なく写真や映像を使用されない権利です。
AIツールが学習に使うデータが許可を得ているか確認することが大切です。これには、AIツールの利用規約を読むことが含まれます。利用規約には、データの使用方法や権利の扱い方が明記されています。さらに、自分でデータを提供する場合には、必ずデータ提供者から使用許可を取るようにしましょう。
これらのポイントを押さえることで、AI画像生成ツールを安心して使用することができます。
プライバシーと肖像権を守りながら、クリエイティブな作業を進めていきましょう。
ディープフェイクって何?それが引き起こすリスク
ディープフェイクは、AI技術を使って本物そっくりの偽の映像や音声を作り出す技術です。
この技術により、人が実際には話していないことを話しているように見せたり、行っていない行動をしているように見せることが可能です。
ディープフェイクは、映画の特殊効果やエンターテインメント業界での利用など、ポジティブな用途もありますが、その一方で多くのリスクを引き起こす可能性もあります。
ディープフェイクが引き起こすリスク
- 虚偽情報の拡散: ディープフェイクは非常にリアルな偽の映像や音声を作成できるため、これが本物として広まると、誤情報が社会に拡散するリスクがあります。例えば、政治家や著名人の発言を捏造して拡散すれば、社会的な混乱や誤解を招くことが考えられます。
- 名誉毀損: ディープフェイク技術を用いて作成された偽の映像や音声により、個人の名誉が傷つけられる可能性があります。特に有名人や公人がターゲットにされることが多く、これにより彼らの評判や信用が失われることがあります。
- 詐欺: ディープフェイクを使った詐欺も深刻な問題です。例えば、企業のCEOの声を偽造して従業員に命令を出させ、金銭や機密情報を不正に取得する手口などがあります。このような詐欺行為は、企業や個人に大きな損害を与える可能性があります。
- プライバシーの侵害: 個人の映像や音声が無断で使用され、プライバシーが侵害されるリスクもあります。ディープフェイクを使って個人のプライベートな瞬間を偽造し、それを公開することで、当事者の生活に重大な影響を及ぼすことがあります。
最近ではペンタゴンが爆発されたという画像が拡散され、株式市場が瞬間的に大混乱に陥りました。
知的財産権に気をつけよう
画像生成AIで最も気をつけるべきは、似たような画像を生成して気付かずに使ってしまう、著作権侵害などです。
もちろん意図的に著作物に似せるのも侵害行為です。
生成AIに限らず、マンガアニメなどのファンアート、二次創作なども含まれます。
特定の作品や人物に似せた作品を作ると、権利の侵害に当たります。
他人の著作物を使ってない?確認ポイント
自身や視聴者が著作物の表現を見て楽しむ目的でなければ、著作物を用いても良いとされています。
つまり、生成AIの性能向上などの目的で著作物を学習させる行為は、著作権侵害には当たらないと言えます。
しかし、ユーザーを楽しませるために生成AIに学習させることは、著作権侵害に当たる可能性があります。
例えば、多くの人にその表現を見せようとしたり、特定の作家と同じ絵を生成できる機能で楽しませようという目的で生成AIに学習させた場合は、権利制限規定から外れ、著作権侵害と判断される可能性があります。
ビジネスで使う場合は、他人の著作物を無断で使わないために、出所確認、フリー素材利用、オリジナル作成、使用許可取得、画像検索ツールの活用を徹底しましょう。
1. 出所の確認
- 画像や素材のライセンス情報や使用条件をチェック。
- 著作権表示やクレジットがあるか確認。
著作権表示がある素材は学習しないようにしましょう。
また、出力された画像が著作物に似ていないかも確認しましょう。
2. フリー素材の利用
- Unsplash、Pexels、Pixabayなどの信頼できるフリー素材サイトを使う。
- 利用条件(商用利用可否、クレジット表記の必要性)を確認。
フリー素材なら、学習元として利用できる可能性があります。
それぞれの配布サイトで規約を確認しましょう。
3. オリジナルコンテンツの作成
- 自分で写真を撮影。
- デザインソフト(Photoshop、Illustratorなど)でオリジナルデザインを作成。
自分で作った素材なら、学習元データとして使っても問題ありません。
4. 使用許可を取る
- 著作権者に連絡して使用許可を取得。
- ライセンスが必要な場合は購入する。
著作者に許可を得れば、AI画像生成に利用しても問題ありません。
5. 画像検索ツールの活用
- Googleのリバース画像検索で画像をアップロードし、出所を確認。
生成してできた画像を画像検索などにかけて、似た画像が無いことを確認しましょう。
商標やデザインの侵害を避ける方法
AI画像生成ツールを使う際に、商標やデザインの侵害を避けるために以下のポイントに注意しましょう。
1. 商標検索
- 新しいロゴやデザインを作る前に、商標データベースで既存の商標を検索。
- Googleや特許庁の商標検索ツールを活用。
画像検索などをして、学習元データや出力された画像が商標登録されていない確認しましょう。
2. 独自性の確保
- 自分だけのオリジナルなデザインやロゴを作成。
- 他のブランドやデザインと似ていないことを確認。
オリジナルのデータを学習させていれば、商標の侵害を心配する必要がありません。
3. 使用許可を取る
- 既存のデザインやロゴを使いたい場合、権利者から正式な使用許可を取得。
- 必要に応じてライセンス契約を結ぶ。
著作者に、学習元データで使う許可を得れば、問題ありません。
4. 法律の専門家に相談
- デザインや商標に不安がある場合、弁護士など法律の専門家に相談して確認。
著作権や商標に詳しい専門家に相談するのがもっとも安心です。
5. インスピレーションと模倣の違い
- 他のデザインからインスピレーションを得る場合でも、直接的な模倣にならないように注意。
- アイデアを自分なりにアレンジして、独自性を持たせる。
著作権侵害に当たらないパターン
- 単なる事実の記載
- ありふれた表現
- 表現でないアイディア(作風・画風)
などは著作権の侵害には当たりません。
A I と著作権より引用
単なる事実の記載
単なる事実は著作権で保護されません。
例えば、大阪城の絵を生成しても著作権侵害にはなりません。
ありふれた表現
ありふれた表現は著作権で保護されません。
例えば、『金髪ショートヘアで青い目をした女の子のキャラクター』などは、ありふれたアイデアなので著作物とはなりません。
ただし、意図的に特定のキャラクターに似せた場合は著作権侵害に当たる可能性があります。
表現でないアイディア(作風・画風)
イラストの雰囲気や画風は著作権侵害になりません。
むしろ、抽象的な「アイディア」は自由な利用を認める方が、具体的な創作・表現の多様化・豊富化につながるとして、推進されています。
ただし、『○○の画風』などをプロンプトに入れると著作権侵害に当たる可能性があります。
今後の法整備について
画像生成AIに関する法整備は、まだ発展途上ですが、大きく分けて次のような点が議論されています。
- 学習データの問題:
- AIが人々の作った画像を学習して新しい画像を作る時、その元の画像の著作権をどう扱うかが問題です。元の画像に似た新しい画像をAIが作った場合、それが著作権を侵害していないか、法律でどう判断するかが重要です。
- 生成された画像の著作権:
- AIが作った画像は誰のものか、というのも大きな問題です。AIが作ったからといって、それが「誰ものものではない」とは限りません。この画像の著作権をAIの開発者が持つのか、AIを使った人が持つのか、法律で明確にする必要があります。
- 国際的な調和:
- 世界中でAIの使用が広がっているため、国際的なルールも考慮する必要があります。各国の法律が異なると、国際的なビジネスや協力が難しくなるかもしれません。
これらの問題に対する法整備は、技術の進歩や国際的な動向を見ながら、今後も進められるでしょう。
海外の法律
欧州:
- 欧州連合(EU)は、AI規制法を2024年に施行し、2025年までに適用を開始する予定です。
- AI規制法は、AIシステムをリスクベースで分類し、
- 許容できないリスク
- 高いリスク
- 限定的なリスク
- 最小限のリスク
という4つのレベルに分けています。
- 生成AIを含む基盤モデルへの規制が設けられ、AIで生成した事実を明示するよう事業者に求められています。
米国:
- 米国では、生成AIによる権利侵害に対する法制度上の対応が進行中で、特に著作権侵害への対応が焦点となっています。
- 米国著作権局は、AIによる創作物に関するガイダンスを発表し、著作物として保護されるためには「人間」による創作物であることが求められています。
これらの規制は、AI技術の進歩とともに進化し続けており、今後も変更が予想されます。
画像生成AIの法的枠組みは、技術の発展に合わせて更新されるため、最新の情報を定期的に確認することが重要です。
まとめ
画像生成AIを使ってSNSやWEBサイトを作るのは問題ありません。
しかし、生成した画像が既存の著作物に似ていたり、意図的に似せていた場合は著作権侵害に当たります。
これは生成AIに限らず、手描きでマネしても侵害になります。
生成した画像は必ず、生成AIサービスの規約を確認の後、画像検索などで似た画像が無いことを確認してから使うようにしましょう。
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